今だからこそ大切なコミュニケーションツール“電話” コールセンターシステム導入を考える

顧客とのコミュニケーションツールとして、AIチャットボットやSNSツールなどの様々なサービスを導入している企業も多いだろう。しかし、カスタマーサポートや営業活動の一環としての電話を用いたコールセンターは、いまだにとても重要な役割である。

2019.10.10 THU

今だからこそ大切なコミュニケーションツール“電話” コールセンターシステム導入を考える

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徐々に進むコールセンターのクラウド化

従来のよくあるコールセンターは、ヘッドセットをしたスタッフをとにかく多く配置しているテレオペ対応のイメージがあるだろう。しかし、今ではコンピューターによるコールセンターのシステム化も進み、効率よく電話対応をおこなうための人員配置、環境整備が一般化されてきている。

なかでもよりコストパフォーマンスが高いシステムとして注目されているのは、クラウドコンピューティングを用いたコールセンターシステム。ストレージサービスとしてのクラウドではなく、コールセンターシステムのクラウドは、どのように活用されているのだろうか。

今の時代から見ると「電話をする」という行為がアナログで前時代的な手法と思われるかもしれない。だが、リアルタイムに感覚的な対話ができる電話は、いまでもとても便利なツールである。今回はそんなコールセンターについて深めていこう。

コールセンターの種類

まずコールセンターには大きく分けて2つの種類がある。「アウトバウンド型」と「インバウンド型」だ。

・アウトバウンド型
アウトバウンドはコールセンター側から営業や電話調査として電話をかける事を指す。電話セールスやテレアポともいわれる。会社や自宅にセールスの電話がかかってくることがあると思うが、これがコールセンターシステムでいうアウトバウンドである。

・インバウンド型
インバウンドはアウトバウンドと反対にコールセンター側がカスタマーサポートなどの電話対応を受ける事を指す。顧客からの相談やクレームを受ける電話もインバウンドとなる。

この2種類の内、コールセンターシステムはどちらかというとインバウンド型の仕組みに特化し、業務効率を向上させてくれる。 では、このインバウンド型においてのシステムの在り方を詳しく見ていく。

インバウンド型においてのコールセンターシステムの役割

着信を効率よくオペレーターへ振り分けるのが主なコールセンターシステムの役割だ。しかし単純に空いているオペレーターにつなぐ、振り分けるというだけでは有効なサポートにはならない。

インバウンドの電話の目的の多くは「顧客満足度の向上」にある。例えばシステム障害や特定の商品にトラブルが見つかった場合、顧客からの大量の電話が短期間に着信することになる。製造企業には早急な対応が求められるだろう。こうした状況に対処するためには、専門的な知識があり、顧客が納得ができるようなしっかりとした説明ができるスキルを持つオペレーターが必要になる。

しかし、人材の育成には時間がかかり、短期間で全てのオペレーターが完璧な応答ができるようににするのは難しい。顧客はそれを待ってはくれないのだ。そういった場合に備えてこのようなコールセンターシステムを整えておくことで、オペレーターにも顧客にもストレスの少ない対応が行えるようになる。

・ACD(Automatic Call Distribution=自動着信分配)
着信したコールを自動的に管理、コントロールする機能である。次々に入る着信コールを特定のルールに従って順次オペレーターに均等に振り分けできる。
専門的な知識が要求されているコールセンターでは顧客が求める知識や専門性を持ったオペレーターに通話を割当てる必要がある。この時にシステムを使用していると、オペレーターのスキルを考慮したり、待機時間、前回に着信があった履歴や内容から、最適なオペレーターへ振り分けることが可能なのだ。応答に適したオペレーターが選ばれることでサービスレベル、業務効率の向上につながる。
また、ACDは着信呼を自動分配する機械、または自動分配することを意味する。着信を自動でオペレーターに振り分けることによって過剰な人材を配置するのを防ぐ効果もあるのだ。

・IVR(Interactive Voice Response=自動音声応答)
自動音声応答は、電話番号に着信するとあらかじめ設定してある音声案内が自動で流れる機能を指す。
コールセンターに電話をかけるとよく「お電話ありがとうございます。音声案内に従ってご希望の番号を押してください…商品に関するお問い合わせは1を。ご使用方法については2を。それ以外のお問い合わせは3を押してください。」のようなアナウンスを聞く事があるだろう。
音声案内によって取次業務が削減されるので、少ない人数でも電話に対応出来る。さらに発信者のダイヤル操作により発信されるプッシュ信号を認識できる機能により、顧客の現状や意図をある程度は事前に把握することができるというメリットもある。これで双方にとって無駄な会話を省き、効率化が図れる。

・通話録音/解析
顧客との通話音声を録音・保存する機能。この機能は主に会話の聞き逃しの防止やオペレーターの顧客対応の訓練、そして顧客トラブルを防ぐための証拠を残すといった目的に使われてきた。
しかし、近年ではコンプライアンス意識の高まりから、顧客に対して自社側が営業的に不正な売り方をしていないか、法令を遵守しているかなどを確認するために通話録音を活かしている企業もある。通話録音機能によって、顧客に商品やサービスを販売する際の通話がコンプライアンスに違反していないかチェックすることが可能である。
また最新のAI技術と組み合わせることで、顧客との通話内容をAIが解析し、事前に登録済みのコンプライアンス違反のキーワードが出ていた場合にはアラートが発生してオペレーターに注意を促す仕組みもある。データに基づいた適切な指示を与えることができるので、オペレーターの教育も行うことができるのである。

コールセンターシステムのクラウド化・サービス5選

一からシステムを独自に構築するオンプレミス型のコールセンターシステムに対して、サービスプロバイダーが提供する既存のシステムを活用する、クラウド化されたコールセンターシステムがある。

前者のオンプレミス型は、特殊な業務を必要とする企業や大企業の導入傾向がある。システムを一から自由に構築することができるので、オリジナルで効率的な運用をおこなうことができる。

後者のクラウドの場合は、その導入のしやすさが最大の特徴。すでにシステムとして完成されているサービスを利用するゆえ、オンプレミス型よりも手軽にシステム導入することが可能となる。次項でクラウドコールセンターのサービスを5つピックアップしたので紹介しよう。

クラウドテレコール
全てがクラウド構成で業界最安値水準を実現。 Powered by AWS 新規でコールセンターを導入する方はもちろん、既存システムが既に導入されている企業様も、費用対効果に応じて席数を増減させることが可能である。 ※クラウドテレコールを利用するには、別途IP電話回線(SIPトランクサービス)の契約を行う必要性がある。

ftel(エフテル)
パソコンで始めるクラウドコールシステム。クラウドを利用した全通話録音対応の低価格・高セキュリティのシステムである。場所を選ばず電話回線不要の簡単導入が可能。全通話録音を標準搭載でIVR/CTI/ACDなども低コストで利用できる。

BIZTELコールセンター
はじめての方でも簡単に導入できるクラウドコールセンターサービス。 交換機・PBX も電話回線も不要である。1 席~大規模センターでも柔軟に対応 
し、インターネットとパソコンだけあればOK。豊富な機能で専門事業者にも十分なスペックがある。

BlueBean
クラウドCTIコールセンターシステム「BlueBean」はオープンソースソフトウェアPBXのAsteriskをベースとして開発した総合コールセンターシステム。PBX機能はもちろん、独自開発のCTI,CRM機能をパッケージング、ワンストップでコールセンター業務に必要な機能を提供。また、月額1万円から導入ができるため、コールセンターのコスト削減、自社アウトバンドコールセンターの開設が容易に可能となる。

Omni Contact
コールセンター営業のスペシャリストが経験をもとに開発したクラウド型CRM システムの決定版。 システム導入基本0 円。クラウド型のシステムなので、基本的にシステム導入費用が発生しない。またネット環境・PC・ヘッドセットがあれば運用可能なので、設備コストを抑え、早急に業務を開始することが可能である。

導入にあたっては、時間短縮、独自性、コストや運用体制などの判断基準が企業ごとに異なる。
今回紹介したサービス以外にも様々な関連商品が存在するので、メリット・デメリットを自社内で良く検討した上で、効果的なコールセンターシステムを取り入れることが大切だ。

現在、コールセンターが置かれている立場は変化してきている。「電話がつながらず待たされる」などのネガティブなイメージを持たれていることもあるだろう。しかし、企業にとって顧客との接点を持ち、声を聞くことができるコールセンターは重要な位置にあることもまた事実である。システムの能力を最大限に活用しコールセンターをいかに上手く運営していけるかが、顧客獲得につながる鍵となるともいえるだろう。

今回紹介したコールセンターシステムを導入することで、電話にかかる様々な問題を解決できる。また、クラウドでの提供も行っているため、少人数で運営しているセンターでもシステム構築が可能となっている。クラウドであることで構築期間の短縮も可能だ。自社のコールセンターの環境と照らし合せて、導入を検討してみるのも良いだろう。

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