テレワーク導入の4つのポイント。注目される昨今の在宅ワーク事情とは。

新型コロナウイルスの影響で混乱している日本社会。感染拡大を防ぐために企業が導入している対策の一つとしてテレワークがある。もともとビジネス分野で注目のキーワードの1つであったテレワークが一躍脚光を浴びているが、そのメリットとデメリットや導入時のポイントはどんなものであるのかを紹介していく。

2020.03.31 TUE

テレワーク導入の4つのポイント。注目される昨今の在宅ワーク事情とは。

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会社に行かなくても働ける「テレワーク」とは?

テレワークは「tele(遠方の・遠距離)」+「work(働く・仕事)」を組み合わせた人事労務用語である。ICT(情報通信技術)を活用して会社以外の場所で働くワークスタイルで、テレワークの形で働く人をテレワーカーと呼ぶ。テレワークはワーク・ライフ・バランスの実現、地域活性化の推進、環境への負担軽減など、多くの社会的意義があり、厚生労働省と総務省が国内における認知向上と推進に向けて取り組んでいる。

テレワークは働く場所によって大きく3つに分けられる。

1.在宅勤務…勤務地を従業員の自宅する
2.設利用型勤務…サテライトオフィス等を勤務地とする
3.モバイルワーク…IT機器を携帯し、場所を問わず勤務する

また、週5日適用する「常時テレワーク」と、週2〜3日や午前中などを適用する「随時テレワーク」があり、企業ごとに柔軟な働き方が実施されている。


参考:総務省ホームページ「テレワークの意義・効果」

介護との両立、地方…多様な働き方を実現する

テレワークのメリットとデメリットを「働き手」「企業」それぞれで洗い出してみよう。

働き手のメリット
1. 通勤時間の短縮
2. 体力的な負担の軽減
3. 育児や介護との両立
4. キャリアの継続
5. 場所を問わず働ける

働き手のデメリット
1. 時間管理の難しさ
2. コミュニケーション不足
3. 仕事内容が限定される

働き手のメリットに挙げた「通勤時間の短縮」は、通勤時間がなくなり、通勤電車で受ける体力の消耗も防げる。最近では、配偶者の転勤、育児・介護など家庭の事情で、テレワークを導入する事例が増えている。メリットが多い一方で、デメリットは基本的に1人で作業するため時間のメリハリをつけにくい点だ。他には個人情報を取り扱う部署などテレワークに向かない業務がある、などがあげられる。

企業のメリット
1. 離職の回避
2. 非常災害時のリスクの分散
3. 生産性の向上
4. コストの削減
5. 営業効率と顧客満足度の向上
6. 地域活性化の推進

企業のデメリット
1. セキュリティ管理
2. 時間管理が曖昧
3. コミュニケーション不足

企業側のメリットとして、従業員の負担を軽減できるため離職者を減らせる効果がある。従業員の交通費がかからないことで経費上のメリットもあり、さらに、ネット環境が整備されたことで、地方在住者の採用もしやすくなるはずだ。デメリットとしては、社用のIT端末の盗難や破損、ウイルス感染などのリスク、公共の場や飲食店やなどでの、PC画面の覗き見や公衆WI-FIを利用することのリスクもある。公衆Wi-Fi、いわゆるフリーWi-Fiは無料で自由に使うことができる便利さの反面、悪用されるケースも多い。パスワードの設定をしなければ誰でも使えるように設置できてしまうため、悪意のある人間がわざと偽のWi-Fiを飛ばしていることもある。繋げてしまうと通信内容を見られたり遠隔操作までされてしまい情報漏洩が起きる恐れがある。

公共の場では企業がサイバー攻撃を受けるのとはとはまた違う手法で、常に不特定多数の人間に情報を狙われている。事前に覗き見防止ソフトを導入したり、安全に使えるWi-Fiを確保しておく必要がある。危機感を強くもって、機密情報を扱っていることへの意識をいつも以上に高くすることが大切だ。また目が届かない分従業員の勤務態度が把握できない点などがあげられる。また対面のコミュニケーションがないため、テレワーカーのフォローアップが課題といえそうだ。

テレワークを始める時に抑えたい4つのポイント

今後テレワークを活用するためのチェックポイントを紹介する。

1.コミュニケーションツールを活用する
テレワーカーと円滑にコミュニケーションがとれる環境を整えたいもの。例えば、チャットツールでリアルタイムに報連相ができるようにしたり、定期的にWEB会議を開催して顔を見ながら話すなどの機会を増やすことが大切だ。

2.実施できる職種を洗い出す
テレワークは、営業やエンジニア、デザイナー、広報、編集など多くの部署に適用しやすい勤務形態だが、一方で人事や経理、法務、IRなど個人情報や企業の機密情報を取り扱う部署は業務の性質上難しいのが現状。まずは今テレワークが実施できる業務から利用を始め、徐々に出てきた課題やニーズに対応・解決できるツールを追加で導入していく流れが良いだろう。

3.テレワークの導入方法を選定する
一口にテレワークと言っても、職種や従業員の家庭の事情によってフィットする導入の仕方は異なる。「常時テレワーク」から「随時テレワーク」にするなど、働く人のライフスタイルを考慮して各々に合った最適な働き方に近付けていくことが求められる。

4.セキュリティ体制を整える
テレワーカーが増えると、各自が使用する社用のPCやタブレットなどのIT端末の管理がより重要になる。紛失や破損、ウイルス感染など想定できるリスクを洗い出し、管理者は導入時の注意喚起と定期的な意識づけを怠らない様にしてく必要がある。

新型コロナウイルス対策としてのテレワーク導入には助成金を活用しよう

現在世界を混乱に陥れている新型コロナウイルス感染症問題。日常生活のみならず企業活動への影響は計り知れないものになっており、社会への打撃は依然続くものとみられる。感染拡大を防ぐためには通勤ラッシュや人込みの回避が重要となり、在宅勤務が可能になるテレワークはその有効な対策の一つである。

テレワーク導入にあたっては政府や地方自治体が助成金や支援制度を設けている場合がある。ここでは新型コロナウイルス感染症対策として厚生労働省と東京都が始めた助成金制度を紹介する。

1.時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例
厚生労働省
2020年3月3日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症対策の拡大により、今年度の受付付けをすでに終了していた時間外労働等改善助成金(テレワークコース)について、以下の特例的なコースを新たに設けた。


参考:厚生労働省 公表資料PDF
『新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース』『職場意識改善特例コース』リーフレット

2.事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
東京都
東京都は新型コロナウイルス感染症等の拡大防止対策として令和2年3月6日より都内企業のテレワーク環境整備を支援する助成金の募集を開始した。都内中堅・中小企業に対しテレワークの導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を助成するものとなっている。

各助成金や支援制度には各種条件や要件があるため、詳細については直接の問い合わせやHPなどで必ず確認してほしい。政府の基本方針に基づき、BCP(事業継続計画)対策の一環として可能な限りテレワークの積極的な活用をお勧めする。

新型コロナウイルス感染症だけでなく、長く続く深刻な人手不足など日本は多くの問題を抱えている。さまざまな働き手のニーズに対応した環境作りが求められている中でだろう。テレワークは働き手と企業に様々なメリットをもたらすだけでなく、働き方改革を普及し一億総活躍、女性活躍を推進することも可能とする。テレワークは社会全体にもプラスの変革をもたらすのだ。いちサラリーマンとしても、企業人としても参考になる働き方ではないだろうか。



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