会社の業務がスムーズなのは、ERPのおかげ!ERPって何のこと?

ERPという言葉を聞いたことはあるだろうか。ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、「会社経営の基幹業務を担うシステム」のこと。いまさら聞けない、いまでは欠かせないシステムとなっているそのERPとは。

2019.05.24 FRI

会社の業務がスムーズなのは、ERPのおかげ!ERPって何のこと?

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ERPって?

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略。いまでこそ、経営者が必要なときにタブレットPCの画面を叩いて知りたい情報を取り出す、ということは当たり前の世の中になったが、実はこのようなことができるようになったのは、ERPと呼ばれる統合基幹業務システムが登場してからのこと。

30年ほど前は、経営者にとって業務システムの情報はとても使いにくいものだった。たとえば、社長が「これこれの経営情報を見たい」とIT部門に依頼してもレポートが出てくるのが1週間後……という悪い冗談みたいなことが普通だった。

昔は基幹業務システムがバラバラだった

そもそも「基幹業務」とは何を指すのか?例としてモノを製造して販売している架空のA社で説明する。A社の仕事を簡単に言うと、①原材料を購入し、②製品を生産し、③在庫を調整しつつ、④製品を販売して、⑤利益を計算して、⑥従業員に給料を支払う、ということになる。この①〜⑥の仕事は、会社の売上・利益を得るためのもっとも重要な仕事なので「基幹業務」と呼ぶ。

そして「基幹業務システム」とは、①〜⑥の業務をそれぞれ支援するITシステムということになる。つまりこの表のようになる。

データが繋がっていないと便利にならない


さきほど、30年ほど前は、これらの業務システムの情報がとても使いにくかったと説明したが、データが繋がっていないと、とてつもなく不便なことが起こるのだ。

たとえば、営業のあなたが、お客様から製品Aの発注を100個いただいたとする。まず在庫を調べたところ、10個あったので、残り90個の生産を社内で依頼する。生産部門は、生産管理システムを使って90個分の生産計画を立て、原材料を購買する。

ところが購買管理システムとデータが連携していないので、原材料の価格変動や納期がすぐにはわからない。つまり、営業であるあなたは、希望納期通りに納品できるかどうかを、すぐにはお客様に連絡できないのだ。

販売管理と会計も連動していないので、製品がいくらで売れて、いつ入金があって、粗利がどれくらい出たかもすぐにわからない。

一時が万事この調子なので、例えば社長が「向こう3ヶ月の受注残がどれくらいあって、売上の未達はどれほどか?」と訊いても、いくつかのシステムからバラバラのデータを持ち寄って、マルチプラン(注:エクセルの前身の表計算ソフト、50代の人には懐かしい名前)で1週間かけて一生懸命に計算をしないと、答えがでなかったのである。

ERPの元祖=SAPが登場

この不便な状況を劇的に変えたのが、いまでは巨大IT会社となっているSAP(エスエーピー)。1980年代に登場した「SAP R/2」というソフトウェアが、これらの使いにくかった情報を統合。しかしながら、このソフトウェアが動くIBMの計算機が当時の価格で数億円〜数十億円、SAP R/2がやはり数千万円〜数億円という規模だったので、ごく一部の巨大企業だけが使える非常に高価なシステムだったのだ。

大企業から中小企業へ広がった

その後、みなさんもよくご存知のマイクロソフト社とインテル社が頑張ったおかげでコンピューティングパワーが革命的に安くなり、2000年に入るころには、中小企業向けのERPが安価なPCサーバーで動くようになったのである。また現在ではクラウドで動くERPサービスも非常に豊富にあるため、今日立ち上げた会社が、月額数千円〜数万円というコストで、すぐにでもERPを利用することができるようになったのである。

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