便利!解決の小技(5) - 受け手のイメージが変わるフォント選び -

“フォント”は、会話で例えるならば“声”といえるだろう。 同じ内容であっても、トーンやボリュームによって受け手への伝わり方は大きく異なる。 受け手への印象や伝わる力を大きく左右する、この“フォント”について、今回は、理解を深めてみよう。

2019.10.03 THU

便利!解決の小技(5) - 受け手のイメージが変わるフォント選び -

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フォントも、デザインの一部


適切なフォント選びは、パソコンで資料作成をする全ての人にとって重要である。誰に、何を、どんな目的で、どのようなイメージで伝えたいのか。それらによって選ぶフォントは変わってくる。例えば、プレゼン資料を作成する時。プレゼンの内容はもちろんのことだが、その資料の見やすさ、いわゆるデザイン性を左右する1つの要因にフォントが入る。選び方と使い方で、資料のイメージが全く変わるだけではなく、情報の伝わり方も変わるため、フォント選びは慎重に行わなければならない。

フォントの特長とは“個性”である


日本語のフォントは、明朝体とゴシック体に大きく分類される。下記の画像の文字を比べてみて欲しい。視界に入ったときの印象が大分異なるのではないか。

【明朝体】
・筆使いを感じさせ、繊細さや優雅さを表現することができる。和のテイストと相性が良い。
・細いフォントは高級感や誠実さや上品さ、太いフォントは大人っぽさや力強い印象を与える。
・比較的小さいサイズでの使用が多く、新聞、雑誌、書籍は主にこの明朝体が採用されている。

【ゴシック体】
・力強く、モダンな印象。
・縦横の線幅がほぼ均一で角がある字体なので、明朝体と比較すると、男性的なイメージを与える。
・視認性に優れているため、時刻表、ウェブサイトなどに、幅広く使われている。
・パッと目に入りやすいため、チラシや広告物のコピーはゴシック体が多い。

この様に、与える印象や使われる場面まで大きく違いがでてくるのだ。また、フォントは同じ種類の文字でも大きさ、太さを変えるだけで見る人に違った印象を与える。

フォントを選ぶ手順


先述の2つを始めとして沢山の種類があるフォントをうまく使い分けるために、選ぶ際の手順をお伝えしていきたい。


1.系統を選ぶ
日本では、和文フォントと欧文フォントの2つが使われており、それぞれ下記の4つに大きく分けられる。
まずはこのフォントの系統の中から、手がけているデザインイメージに近い系統のフォントを選んでいく。

【和文フォント】
・明朝体
・ゴシック体
・筆書体
・手書き文字

【欧文フォント】
・セリフ体
・サンセリフ体
・筆記体
・手書き文字

2. 選んだ系統の中から、書体を選ぶ。
例えば明朝体ならば、代表的な書体として以下が挙げられる。

・MS明朝
・ヒラギノ明朝
・游明朝
・リュウミン光朝

これらは同じ明朝体でも、それぞれの持つ雰囲気は違う。太ければ親しみやすく力強い印象、細ければお洒落で雰囲気のある印象を与える。

3. 書体のウエイトを決める
一般的に、細いほど女性的で繊細なイメージ、太いほど男性的で力強いイメージとなる。
プレゼン資料などを作成する際、スクリーンに大きく映す際に「太い書体」は、背後が発光しているディスプレイでも見やすい。反対に、企画書、報告書などの資料で、数十行に及ぶ長い文章を書く場合には、「細い書体」が向いている。太い文字で長い文章を書くと紙面が黒々してしまうので、読みずらくなってしまうのだ。

4. 字間の調整
最後に文字と文字の間隔を統一して、字間の調整をしよう。字間は、狭いほど活発で元気のあるイメージ、広いほどゆったりとしておおらかなイメージを与えることができる。これらの手順を踏まえながらフォントを選ぶことで、自分が伝えたいイメージ、ユーザーに与えたい印象をより明確に表現できるだろう。

officeソフトにおいてのフォント

officeソフトでは既定のフォントが設定されている。
例えばExcelは2013までは「MSPゴシック」、2016では「游ゴシック」になっている。この「游ゴシック」だが、見づらく感じる人も多いそうだ。各ソフトにおいての自分にあった既定フォントへの変更方法を紹介する。



<Excel>
・[ファイル]タブ→[オプション]をクリック。

・[基本設定]の[新しいブックの作成時]にある[使用するフォント]のプルダウンメニューから[MSPゴシック]を選択する。

・[OK]ボタンをクリックして閉じる。また、フォントの変更を有効にするにはExcelを一度閉じてから、再起動させる必要がある。

<Word>
・「ホーム」タブの「フォント」右下の小さいアイコンをクリック。

・開いたダイアログの[日本語用のフォント]のプルダウンメニューから[MSPゴシック]を選択。

・[既存に設定]をクリックして閉じる。

<PowerPoint>
PowerPointはWordやExcelとは少し異なり、スライドマスター毎の初期フォント設定を行う必要がある。
毎回設定する手間を減らすため、テンプレートを作成してひな形として保存する方法をお伝えする。

・[表示]→[スライド マスター]をクリック。

・[スライドマスター ] タブの [フォント] ドロップダウンメニューをクリック。使用するフォントを選ぶ。

・[ファイル]→[名前を付けて保存] をクリック。

・ファイルの種類を「PowerPointテンプレート(*.potx)」に変更して保存する。

これで次回から新しいプレゼンテーションファイルを作成するときは、このテンプレートファイルから作成すれば良い。

フォントのクラウド化で業務効率UP!


ついでながら、最新のフォント事情について1つお伝えしたい。ひと昔前までは、フォントはパッケージで購入し、パソコンにインストールするもので、フォントが改良されるごとにインストールしなおす必要もあった。今では、クラウド上からフォントをインストールでき、大容量のフォントデータをクラウド上に置いておくこともできる。パソコンのハードディスクに保存する必要がなくなったことでパソコンの負荷は下がり、動作が早くなる。さらに、作業するチーム内でフォントをクラウド上で共有できる。個人の作業効率化、チームの情報共有化のためにも、フォントのクラウド化は勧めたい。

適切なフォント選びは、ビジネスコミュニケーションのスキルであり、マナーともいえるだろう。受け手の印象に残り、情報をしっかりと伝えるためにも、ふさわしいフォント選びを心がけたい。

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